人種の坩堝にいる女の子

mikeinu-miho2012-10-26


四国を8日に出発した彼女は23日に佐渡へ来ました


赤いブーツと紺色のコート

洋服も靴も大切にしている感じが素敵


彼女は英語も出来ない頃からいきなり
音楽の街アイルランドのダブリンに1人でひと月も滞在し


そこで恋をして
そして別れ
ピアノを弾き
歌い
常に音楽と共に生きていた


風邪薬を買いにいった人が普通に半日以上帰ってこないとか

時間の流れが日本とどう違うかとか


ダブリンと言う街の
あの街のストリート(ミュージシャン)は普通にプロだからね
あの国のプロミュージシャンになるのは大変なのよ


どんな話しもあたしは映画みたいに想像しながら聞いていた


音楽の街ダブリン


彼女が今回書いた小説に出てくる歌は


あのメル・ギブソンのブレイブハートに入っているスコットランドの民謡で


実際彼女が住んでいた街のパブで

誰かが演奏して歌ってくれたそうだ


あたしはブレイブハートって映画の
キチガイじみた青い瞳のウォレス(メルギブソン)の
あの瞳はマジで青いよねと言ったら


最近減ってるんだよ

完璧なブルーアイは少なくなっているんだと彼女は教えてくれた


だから外国人の友達と外国で
ある店の店員さんを見て

「さっきの彼の目!青かったね!」なんて話したりするんだそうだ


日本にいると人間の進化なんてわからないけど


人間て進化してるんだ
そういう事もあるんだっ
つーかそりゃそうだよね
数万年たって人間がまだいたら
どんな形状になってるんだろ
って発見だよね


彼女の話しは面白い


彼女が今回佐渡へ来た理由を


「美穂に会いにきた」と言ったので


あたしはちょっとビックリしてから嬉しいと言うか


でもあたしみないな下品ていうか…

いい加減な人間を求めて佐渡まで来るなんてアホだ


とにかく彼女の今回の旅は「日本の誰かに会う」のが目的だった


彼女と言う旅人は自ら目的を持っている



結果夜中まで 街のおっさん達と彼女は歌いに歌い

彼女が歌うカーペンターズは 聞いた事がない甘い声だった


読んだ本の数々
観た映画の数々
訪れた場所の数々

そしてアットランダムな人達との繋がり

それは人種や職種や思想までアットランダムで


彼女は真っ直ぐ考えてることを話すから
あたしはとても楽ちんなのだ


あたしが佐渡に来たとき

方言がわからなくて英語を喋られてるように思った

今は普通にわかる


「てーそくてダチカンじゃ」

「体がしんどいので駄目です」


彼女も同様に佐渡の人の会話がわからない


なるほど あたしはすっかり今は解るよ!でも数年前は全くわからなかったって忘れてたよ!


さんざん歌って
彼女は羽茂のおっさん達から

船で新潟まで送ろうか?と本気で言われ

柿を山ほど持たされ

そして

佐渡は今回の旅で一番面白かった」と言った


「あー面白かった」
何回もつぶやいて

港で手をふって船に乗っていった


彼女は人種の坩堝にいる人間で

人と言うものを好きだ


また会いましょう!


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彼女の本を紹介



人間の、ものをつくるという衝動が一体どこからくるのか私はそれを未だ謎のように思っています。

私自身のことについても、ものを書く理由として「子どもが持てなくなったため、身体で産めないのなら心で産む」と説明をつづけてきましたが、それも、当たらずしも遠からずくらいのことのように思います。

実際はなにか現実にあるものから目をそらすためだけに、対象、または自分のなかに没頭し結果運がよければなにかが引きずり出されてくるだけのことなのかもしれない。

ただ、ものをつくることが「衝動」だけでなく人間に仕込まれた「本能」の一部なのだということもやはり感じずにはいられません。

伝達する力を信じていること、または信じようとすること、それが、ものを食べ、眠り、子孫を遺すことと同じようにあらゆる人のなかに仕込まれているからこそ人間は、動作で、言葉で、音で、力で、または知力によってなにかをつくりだし、誰かに渡そうとする。

たとえ否定的なものであれ、零から有を産むのであればやはりそれは「つくること」であり、そこから新しい奇跡や軋轢が生まれてゆく、全てがそこから生まれるからこそ、あらゆる軋轢を超える力もそこにあるのではないかと。

よくある夢ですが、やはり人間とはそのようなものなのだと思います。
今日も世界中で、人々はお互いの肩を叩き、微笑み、罵り、抱きしめ、殴り、謀略し、議論し、憎み、料理し、歌い、産み、殺している。

それらを結び新たな力を産みだすことのできる最大の手段が芸術であり、ペンを片手にその枝先にぶら下がることができれば、私は生きている甲斐があるように思います。

宮本 佐紀