思い出したこと

たっぺい君がうまれたころ

きよしろーは本当に幸せそうだった


コンサートのアンコールが鳴り止まず

「こどもがお腹空かしてるんで・・すぃません」と はずかしそうに
ほんとは自慢そうに舞台で挨拶して
ロックコンサートが終わったこともあった

(実際 群馬県民会館でのコンサートはそれで終わった)




だけど ある日 きよしろーは

ロックで自立する といって
RCサクセションを休みにして
ふつーのバンドマンになった


学校の卒業式なんかで君が代を歌わない教師が罰せられる事件が相次いで

ロックで自立したきよしろーは
君が代」を敬っている といって歌った


どっかの23時のニュース番組に出て
いきなりこれを1人で歌った


動画はそれに賛同した仲間が一緒だ




あのころ世界情勢は

アメリカから飛んでった戦闘機が
イラクに隠された大量破壊兵器と 
隠れてるフセインだかビンラーディンだかをピンポイントで爆撃し


一方 日本の とある大病院の教授がトイレに入ると
毎回毎回 誰かの<大>の方が便器からはずれて落ちている

誤爆はこりごりだ!」と教授が毎日嘆いていたころのことだった


あの頃のキヨシローは狂ってた


手負いのトラみたいに狂ってた


ラブソングは一切歌わなくなった


「人ん家に爆弾落とすなよぉーーー」の一言も言えずに

人道的支援??だっけで のこのこイラクに入っていった日本の国歌を

きよしろーは 誇り高く歌い上げたのがこの動画


君が代は いい国歌だから・・・もっと身近な感じでみんなが歌って
毎日敬えるようなアレンジがいいかなって・・」みたいなことを言ってた


敬っているのに 圧力がかかって販売禁止 放送も禁止

歌わない教師は罰せられ

歌ったきよしろーは干された 


どうでも売るっていうなら たっぺいくんの学校に右翼が行くぞ なんて脅しもあって

販売は断じて禁止 ってことだったけど


でもきよしろーは ロックで自立しているから
インディーズで つまり自費出版で「君が代」をアルバムに乗っけて売ったんだよ


イラクの道端に 赤ちゃんの死体がごろごろ転がってたころのこと


あたしは きよしろーのラブソングが大好きだったけど


夜叉みたいなきよしろーは全然歌ってくれなかった



ニコニコ動画かなんかできよしろーが死んだとき

テロップがいっぱい流れた


反日ミュージシャン死亡だの そういう明後日な内容が



きよしろーは ブーアの森を描いた

NHKのみんなの歌でも にゃーごにゃーごと猫の歌を歌って

たっぺい君が走って転んで 「さあ がんばれ!たっちしておいで!」

立ち上がって走ってくるたっぺい君を抱き上げて

「強い子だ いい子だ」って言う歌を歌って・・


そういう歌を歌ってたときに


誤爆が大爆撃になって イラクの子どもたちの死体が映像となって日本に送られてきた


反日とかいうんじゃなくって


ただ 怒ってた


ものすごく


子どもたちの ボロボロの遺体に


だから 自分でたっぺいくんの未来を 切り開こうとしてた


父親として


だから 声を失うわけにはいかなかった


そういうことだったんじゃないかな