桜咲く頃

春を迎える喜びは
厳しい冬をやっとこさ越えてこそ

佐渡南部は雪は少ないはずだったが
「まったく今年の冬はいつになってもタイヤを変えれん」と
みんな口々にぼやいて過ごしていた


午前1時過ぎに準夜勤を終えて
病院の外に出ると雪が降っている
気温が低いと手袋に降る雪は結晶が見える
そして道の向こうに赤提灯が光っている
それは「駄貸し屋」の灯り

(おーーまだやってるやってる・・・仕事上がりにあたしも一杯貰おうかね?うひひひ)

というシュチュエイションを
あたしは心から愛してる

(自宅が居酒屋というのはの居酒屋女房の特権)


電気屋のS君と話したのだが

たとえば大金持ちになってだよ
モナコに別荘を持ってだよ
毎日セレブな付き合いをしなきゃいけなくなるのはどうかね?

「つまんねえな」とS君は即答

だよねえ?

「一生懸命汗だくになって働いて ヘトヘトになってやっとありつけるビールだから美味いんだ」


昼間っからフラフラ遊んで何の苦労もしないでいたら
「ああ 生ビールが飲みたいよ」とは思わないよねえ


「そうそう!!」


てゆーかさあ・・・・ああ寒い!早く春にならないかなあ?


そうぼやきながらストーブを囲んでホルモン焼きをつっつきながら過ごした冬


羽茂もぼちぼち桜が咲き始めました

佐渡の「いとしげ」という言葉の使い方が好きです

いとおしい 愛おしいという言葉を日常に溶け込ませている優しさ
旅から来たあたしは その言葉に魅せられます


佐藤良二という人がいて
給料の殆どを使って桜の苗を買って女房をイラつかせ
世間から変人扱いされ
「太平洋と日本海を桜でつなぐんだ」と 桜を植え続けた男がいました

彼が死んだ後に有名になって石碑ができたりして
映画になったりドラマになったりしてあたしも彼を知ったのだけど

バカ扱い 変人扱いされてた彼の どうしようもなさっぷりが
そこが臭い靴下みたいで いとしげです


花がそこにあるだけで人は集まります


あちこち花を植え続けるのもいいかもね

自分の庭じゃない場所にゲリラ的に・・・・・


そういう事に人生をかけるのは悪くない