すっごい長い真剣なメッセージ(動画付)

「人間の土地」ーーサン・テグジュぺリーー


  何ものも僚友のかけがえには絶対になりえない
  旧友をつくることは不可能だ
  何ものも あの多くの共通の思い出
  ともに生きてきたあのおびただしい困難な時間
  あのたびたびの仲違いや仲直りや
  心のときめきの宝物の貴さにはおよばない
  この種の友情は二度とは得難いものだ
  樫の木を植えて すぐその葉かげに憩おうとしてもそれは無理だ


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Kくん
キミのプライベートに口をつっこむ無礼を許してください



初めてキミに会ったのは羽茂の花魁道中のときだった
二本の松葉杖をついて キミはサングラスにモヒカン頭にピアスをして
仲間たちとバイクの話しをしてた


「俺も乗りてえなあ」というキミに

「もしもお前がバイクに乗れるんなら俺ら金はいくらでも集めるぜい!!」
「おう!!」

と 大人にしちゃあかなりヤンチャな格好の仲間たちは祝杯をあげていた
(失礼だがそんなに金持ってそうにはみえない連中だが)



あたしと夫は ついついその連中に吸い寄せられて
そのときはまだ名前も知らなくて でも


「その夢乗った」


夫の胸ん中で鐘がなったのをあたしはちゃんと聞いたんだ



それからしばらくして ある日突然Kくんは一人でガラっと戸を開けて
駄貸し屋へやってきた


「やっと来ましたよ〜そこの高校で『青年の主張』みたいのやってきたんすよ
 てか 今日駄貸し屋来るって決めてたから
 『青年の』やってても もう酒飲みて〜って頭いっぱいでさあー
 あー熱かった かなわねーっすよ」


あたしは花魁道中以来 
あの連中の夢が叶ったときの連中の顔を想像すると愉快でたまらないのでした
(あえてKくんの夢とは書かない)


小学生が運動会で自分のチームが優勝したみたいな
秘密基地に なにやら怪しいレアな物が持ち込まれたて夕方集合したときみたいな
そういう顔 


そう
とくにトモカズの嬉しそうなアホ面を思い浮かべるとたまんない


「だからキミは乗ったらいいんだ
 そうさ あたしもどっかの旅先で
 雨に降られてガス欠のキミを笑いたいぜ

 ・・でも 笑ったらケンカになるかもな・・
 ガス欠はちょーーー居たたまれないからなー
 足が悪いのわかってて
 『てめーが不注意だからそうなんだよ 自分でどうにかしろよな
  あたしはしらねーーよー』なんてことになるかもな・・・」


なんて 想像しまくるのであった

で?どんなんがすきなの?

やっぱマッハがいいっすねえーーー

え え え まっは?

そう まっは・・





こんな単純なビー球みたいな綺麗な心
そうだよ ほんとに綺麗な心だ 
モカズのそういう想いとか
うちの夫のワクワクは


地面を走れるんだってKくんのビー球



両足が地面を蹴って走れなくたって
バイクは風を横切り追い越し
そして 街や山や海の風景以外に
きっと彼独自の特別なものを見つける

海とか山とか風とか
それだけじゃないんだよ 乗ったらわかる


真っ青な透明のビー球みたいな計画


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あたしや 夫や マッハクラブの確執に
Kくんに何の関係がっあるってんだろう?


前に一回書いて消した日記があったが
エンジンの排気量がどうたらこうたらって
そんで縁が切れるなんて そんなことがあるの?


あたしはこう思ってた


「どうでもいいから 男同士 喧嘩するなら喧嘩して
 そんで一緒に結局飲んじゃえば あとはあんたら単純なんだからどうにでもなるわ」


「てめーケンカうってんのか?」

「やんのかコラっ」


そうなると思っていた

だけど そうはならなくて 冷たい乾いた空気が流れているだけ



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いまさら太陽のことを書いてもなんだけど
この際だから記しておきます


太陽が死んだとき 連絡もしていないのに 彼らが玄関にやってきた
あたしは今でもそれを感謝しています

それまで夫は決して涙をこぼさなかった
あたしは 腕の中の太陽の最後の声を聞いて
さよならと言えないままに 自分の心がまっぷたつに裂けて
崩れ落ちそうになった時に
夫があたしを支えてくれた

だから夫は泣くわけにはいかなかった

彼らが玄関にやってきて
夫は とうとう堰を切ってあふれる涙を抑えることができなかった

いったい何時間かかってどうやって こんな夜中にここまで来てくれたんだろう

泣くべきときに一度も泣かないで
ただじっと ぐっと 堪えるだけでは
人間はきっといつか壊れてしまう



本当に 本当に 今でも感謝しているんだよ



  何ものも僚友のかけがえには絶対になりえない
  旧友をつくることは不可能だ
  何ものも あの多くの共通の思い出
  ともに生きてきたあのおびただしい困難な時間
  あのたびたびの仲違いや仲直りや
  心のときめきの宝物の貴さにはおよばない
  この種の友情は二度とは得難いものだ
  樫の木を植えて すぐその葉かげに憩おうとしてもそれは無理だ




どちらにせよ 


あたしや 夫と マッハクラブの確執にはKくんは全く無関係ない

マッハのエキスパートなオーナーでメカニックな人が
「で どうするか」って来るんだ 

Kくんは思ってたんだぞ


「とりあえずもうやる気なくなったから おまえらつまんねーし」でもなんでもいい

「前略 一身上の都合により辞退させていただきます 草々」でもいい



無視はないだろ?


バイクに乗ると決めて もうガレージまで作っちゃったKくんなんだぜ
マッハいいっすよね!ってあの顔を見たことあるかい?
ないだろ?
どこの足の悪い酔っ払いだよ なんだモヒカンじゃねーか かっこいいな

 


Kくんに「そのうち店に来る?」とメールして
「はい 行きます!」と返事をもらった

そして
「ガレージできたからバーベキュー来ませんか?」ってメッセをもらった

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問題は どこも問題じゃない


時々 H田と うちの夫がケンカになって

「おめーーが!魂が足らんのじゃ!!!!!」
「うるせーH田 でていけ!!!」

そんであたしは涙がこぼれてしまう

Iさんが割って入る

「美穂さんが泣いてるぞ!二人とももうやめろ!でもマスターが悪いぞ今のは」

「おい!美穂さんが泣くから二人ともやめろ!でもH田も言いすぎだぞ今のは」

と結局 火に油をそそいでしまうIさん

3日後には 仲良く飲んでるH田と夫


そういうことには ならないのか?


なんで 何の関係もないKくんにシワが寄る?



謝った夫に対してKくんは


「OKです!了解っす!」とニコヤカに答えたんだろうと思う


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人間の本質は「許す」ことだ
だから「許す」ことだけには妥協してはいけない By恩師


人間であるということは自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ Byサン・テグジュぺリ