マリリンとアインシュタイン

マリリンモンローについていろいろな本も映画も
なんだか彼女を侮辱しているような気分にさせるものがほとんどで
この映画が出た当初もそう決め付けて観てなかった

たまたまテレビをつけたらこの映画が始まり
気分が悪くなる様な内容ならチャンネルを変えればいいやと見始めた

結果観て良かった!
いや 観ないまま死なないで良かった!

この映画が「地球に落ちてきた男」の監督だと早く気がついていたら直ぐに観てたのに

登場人物はマリリン アインシュタイン ジョーディマジオ マッカーシー
マッカーシーアメリカの黒歴史の1人
赤狩りに一躍貢献した男だ

原題は「無意味なもの」

無論 私が本人達を実際知るわけないんだが
マリリンの映画を端から見尽くした私としては
チョイ役だった時の「イブの総て」の中のあの輝き
「ナイアガラ」のゾッとする悪女の美しさ
それは頭の弱いセクシー女優ではない演技の一瞬一瞬を
マリリンがどんなに努力していたかと
私が勝手に思う
そう言う演技なのだ

この「マリリンとアインシュタイン」の中で
マリリンを最初から最後まで
勝手に偶像化もしていない
そして擁護もない
憐れみもない
けれど悲しいのだ
誰も彼女をわからない
実際を知らない私も含めて

ディマジオとマリリンは結局離婚するが
この映画の中では出て来ない
けれど別れるしか道はないのは描かれている
愛してるとマリリンが言うシーンがあり
愛してるわけないだろとディマジオが言う
マリリンがディマジオを愛してるのは本当だろうに
愛されてるわけないと思わせる当然の理由がディマジオにはある

そしてマッカーシー
赤狩りで後にアメリカの恥にあなったマッカーシー

アインシュタインの研究の書類を盗もうとするが
アインシュタインはその全てをホテルの窓から捨ててしまう

アインシュタインの時計は広島に原爆が落ちた時間で止まっている

アインシュタインの脳裏に浮かぶヒロシマ
今まで観てきたどのヒロシマの映画よりもリアルだと思った

終始何処にも金をかけた感のない
ほとんどが部屋の中だけの撮影なんだが
この長いシーンを観て
いったい監督は誰かと思い調べたら
あの「地球に落ちてきた男」の人だった


それぞれの生き辛さ
それぞれの不器用さ
成功の影にある後悔
罪と罰を描いた作品だと思った