勉強中

「いつも綺麗な心でいなさい。長年生きてきてそれが一番いいと思ったよ」

「もともと心が綺麗じゃなかったら無理じゃない?」

「部屋や皿と同じ、綺麗にすれば綺麗になるもんだ」

「・・・・・・・・わかった。」





「どんなお客様も大切にしなさい。」

「暴れたりする人も?」

「お客様を大切にしなさいといってるんだよ」

「あ、そっか・・わかった」

「大丈夫かね?」

「大丈夫だよ!!」




「旅から来た人、ずっと遠くから来てちょこっと立ち寄った人も大切に。
 5年後、10年後にまた来てくれたとき楽しいからね」

「はい」




「この商売やってたら、たった一人しかお客さんが来ない日だってある。
 うちだってあるんだよ」

「マジで?信じられない!」




旅から来たあたしの尊厳?みたいなのを 彼女は出会ったその日から守ってくれてる。
「こっちへおいで」とカウンターの一番厨房に近い席を空けて座らせて
「どこんこや?誰の連れや?」と他のお客さんが騒いだ頃


どこの誰とも語らず


「みーちゃんはいつでも一人だよ!!」と言ってくれた。


この年になっても
年齢が上の人たちにからかわれると


どこんこ?あたしは大人だぞ?と青いガキみたいな気持ちが膨れそうになり



「みーちゃんはいつでも一人だよ!!」というビシっとママの声が強く威厳があったので


あたしの青臭さなどシュンとしぼんで

みんなのよんどころない(?)空気が一瞬流れてすぐに元に戻った。




「若いときはカウンターで酔っ払って朝まで寝たもんだ」とママは話してくれた。


「そうなの?」


「そうさ」





タイムスリップしないかなーーーーー・・・