一度だけ そのケロイドと言うのを見たことがある
入院患者の
彼の両脚は皮膚が肥厚して引きつり関節を外骨格のように固定していた
ヒロシマで彼は小さな少年だった
年老いた彼の足を
「足浴」と言う看護を施すが
お湯にその足をつけて石鹸を泡立てても
その皮膚は決してふやけず硬いままだった
どう洗って良いのか分からないのだ
まるで硬いゴム長靴を洗うような感触
あの手の掌の記憶は決して消えない
運命だった 運命からは逃れられないと彼が言った
運命なの??
エノラゲイにあたしが乗ってたら
自分の命は諦める
仲間を道連れにアリゾナの砂漠に落ちよう
言葉巧みに仲間を騙してアメリカの国賊になるんだ